化学車
こんにちは。今回は予告していた通り、化学消防車(以下化学車)を特集します。
化学車とは、ポンプ車に薬液を積み、水と混合して消火する車両です。
油火災などは、水をかけると逆に火の勢いが強くなってしまうため、粉末消火材や泡消火材を混合します。そのため、石油化学工場やコンビナートが点在する都市の消防本部や、その自衛消防隊には化学車が配備されています。
化学車にも水槽容量などや車両サイズにより型式を分けることができ、Ⅰ型~Ⅴ型と大Ⅰ、大Ⅱ型の7種類に分けることができます。一般的な消防本部ではⅠ型とⅡ型が配備され、工場や化学工場が点在する消防本部ではⅢ型~Ⅴ型が配備されています。また港などのコンビナートを抱える消防本部では化学車3点セットとして大Ⅰ型が配備され、空港の航空局などが所有するのが大Ⅱ型です。
では、それぞれの形式を見ていきましょう。
こちらがⅠ型の化学車。1000Lの水槽と315Lの薬液槽を搭載しています。車両火災や小規模化学火災などで使用され、タンク車として使用している消防本部も少なくありません。なお、写真は富士宮市消防本部の車両。
こちらはⅡ型の化学車。1500Lの水槽と500Lの薬液槽を搭載しています。一般火災にも対応することができるため、Ⅰ型に比べて幅広い火災に対応することができます。写真は田方消防本部の車両。
こちらはⅢ型。7t~8tベースの車両を使用し、1300Lの水槽と1200Lの薬液槽を搭載しており、工場火災にも対応することができます。写真は富士市消防本部の車両。
こちらは浜松市消防本部の車両。Ⅲ型タイプの車両ですが、配備年数が平成12年のため、荷台がオールシャッタータイプではなく、露出タイプになっています。
こちらはⅣ型。8tベースの車両を使用し、2000Lの水槽と1600Lの薬液槽を搭載しています。また化学車特有の放水銃を2門装備しているのが特徴です。Ⅲ型並びにⅤ型の化学車の化学車の中間のためか、配備している消防本部は少ないです。
Ⅴ型は該当車両が私の撮影した車両の中にいなかったため、代わりの車両を。
こちらは更新された静岡市消防局の車両。区分は大Ⅰ型ですが、水槽2000L薬液1800Lを搭載していますので、Ⅴ型に近いものとなっています(ただし、車体は2軸車なのでⅤ型で定義している3軸車とは異なる)
こちらは大Ⅰ型。基本的にはⅤ型と同じですが、高所放水車並びに泡原液搬送車と3点でチームを組みコンビナート火災に対応します。なお写真は上記の更新後の車両で、水槽1500L薬液1800Lを搭載しています。水槽容量が少ないのは、コンビナート火災の際は他のポンプ車から送水を主とするためで、水槽自体を搭載してない車両も存在します。
こちらは大Ⅱ型。空港型大型化学車の分類となり、基本的に消防本部に配備されている車両は少なく、航空局が所有している場合が多いです。なお写真は東京国際防災展で撮影した大Ⅱ型。
以上で、化学車の説明を終わります。次回はビルなどの火災で対応するはしご車を特集します。では
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